カルカッタのはがき売り
1991年04月14日
1988年くらいは別の親父が同じ場所で同じ商売をしていたらしいのでデビューは1989年か1990年くらいだと思います。そのころ15歳くらいだったので、1975年生まれくらいの男ではないかと思います。
カルカッタのサダルストリート、ホテルマリアの前あたりの路地でインドの神様の絵葉書を売っていました。
クリシュナと仏陀とキリストと肩を組んでダンスしているみたいなふざけたのもありましたが、殆どは神話に忠実な描写がされていました。
はがき売りは言葉の習得がすごく早くて、日本語についてはイントネーションなども性格でした。洒落は通じないですが、心根は良い少年で、私が足を引きずっていたときは本当に気遣ってくれました。そのころ、カルカッタではほんの小さい擦り傷でも致命傷になったのです。雨季は毎日が洪水で、傷口から黴菌が入って数日でとんでもなくはれ上がったものです。
手紙
今ではどの国の空港に着いてもSNSで「着いた」なんて連絡が来るようになりましたが、くだんのはがき売りが活躍していたころ(今も活躍しているかもしれません。それを知りたいのです)は手紙が基本、どうしても必要な時だけ電話だったのです。そんなに友達がいるわけではないし、私がインドにいることを理解してくれる人はあまりいなかったので、手紙をくれるのは旅先で会った人がほとんどでした。
手紙の受け取りは町の郵便局:G.P.O.で行いました。どの町でも受け取れるのかもしれませんが、私は確実に行くところを選んでいました。デリーとか、カトマンズとか、ダラムサラー(のマクロードガンジ)とか。。
いつかあった誰かが生きているってわかると感慨深いものがありました。
まだ太り続けているのか?
最初は笑顔の美しい少年のように見えましたが、カルカッタを再訪するたびに脂肪をつけ、私が最後に見たころにはすっかり親父になっていました。血色はよかったので今も元気なのでは?と思うのですが、どこでどうしているでしょうか。