個人投資家の資産配分
守れば何でも良し
モーニングスターの社長が2021年年頭のセミナーで債券を辞めて株だけにした大胆な資産配分案を提示していました。変でした。モーニングスター社としては投資信託を勧誘しないといけないのかもしれませんが、資産配分はころころ変えるものではないと思っています。やっぱりあっちが儲かるか、ってやっていると失敗するのです。
値段が上がって誤差以上の配分比になっていても「もう少し待ってから」なんて欲が出るし、「今、XXが熱い!」なんて記事を見ると自分の貧相なパフォーマンスと比較して切り替えたくなるし、暴落してしまうと「こんなくそ株」と全部処分してしまいたくなります。そういう圧力に耐え、ひたすら自分の決めたルール通りに配分を守っていれば大丈夫そうなのです。
「内容は読み替えるけど、配分は守る」というルールで、今後も有効かは全然わからないですが順調に来ましたので書いておきます。
下記も内情は現金ばかりで投資効率はあんまりよくないかもしれないですが、リバランスを守っていれば大丈夫だったのです。
国内株式(個別株)10%
投資のプロが日本株でアクティブ運用してもほとんどのケースでインデックス投資に勝てないそうです。(以前はパッシブ運用って言っていました)
個人投資家が個別株を選定して勝てるわけがないのですが、「10%くらいなら良いかな」の気分で個別株投資をすると楽しみが継続するようです。調達時点ではそんなに意識しなくても、長期保有するとは5%超の高配当銘柄構成になってしまうケースがあります。
投資対象は「成長企業」「成熟企業」です。超長期に保有する前提で、企業が以下のように遷移していくことを想定したものです。
スタートアップ | 未上場株。リスクが多すぎて制御できないため投資対象外 |
成長企業 | ビジョンとビジネスモデルに共感できれば投資可能と判断。 鳴かず飛ばずでダメになるかもしれない。 |
成熟企業 | 安定して収益を出せるようになってきた企業。 まだまだ拡大が見込めると判断できれば投資可能。 |
衰退企業 | すでに終わっている事業で、対象外。 たばことか、ゴルフとか? |
スタートアップ企業に投資するくらいなら自分で事業開始を検討するほうが楽しいです。衰退企業は徐々に腐っていく感覚が味わえるので、人によっては大丈夫かもしれないですが、普通はダメでしょう。
ただ、個別株投資を始めてから20年ほどになり、成長企業と思って投資を開始した企業がほとんど成熟企業になり、一部衰退企業になってきます。
国内債券(実は現金)20%
私の投資期間のほとんどは投資価値のある債券が国内にあると感じられなかったので、割り当てた20%を現金で保有しています。そんなに多額の現金を保有していると投資効率が心配になりますが、過去の暴落時にリバランスと称して暴落した株に追加投資をすることで短期間で持ち直すことができました。(下記※)その意味で国内債券と称して現金を持つことは非常に効果が大きいです。
※ITバブル崩壊やリーマンショックだと2年ほどかけて株式の価値が半減し、その後元の水準に戻るのに5年くらいかかったと思いますが(悲惨な時期が6~7年)、うんざりしながらも四半期ごとにルール通りにリバランスしていると、悲惨な時期が単純に株式だけの時より半減して、割とすぐに利益を出している状態に戻ります。世間が「元の水準に戻った」と評価しているときにはかなりの収益が出ていました。
外国株式40%
国内株式を一つの資産クラスに定義しているように、外国株式に割り当てる40%が多すぎると感じる場合は、二つのサブクラスに分けて投資すると楽しみが継続します。ただし、サブクラスに分けたい場合はその配分を守り続ける必要があって、「やっぱり米国株を増やそう」「やっぱり資源国を増やそう」とその時々に宣伝に惑わされていると収益率が上がりません。最初に決めたことを継続します。
以前は新興国など、信託報酬がものすごく高くて、何年も保有しているのが難しかったのですが、近年円建て投資信託ですら、非常に合理的な経費で投資できるようになってきました。
外国債券20%
以前は為替水準にだけ注意しながら米国債だけ購入し続けるのが個人投資家には確実のつもりだったのですが、バーナンキ登場あたりから非常に難しくなり、2020年、投資不適格になってしまいました。今後3年程度は現金で保有するのもやむを得ないと考えます。2023年か2024年にはまた価格が下がってくるので、国内債券と同様に、資産配分を変えてしまわず、キャッシュとしてポジションを持っているのが良いと考えております。
オルタナティブ10%
これは投資というよりは勉強用、「やってみる」のレベルでの話になります。REIT、米国ETF等。BNDなんて一般的には債券なのかもしれないですが、収益の半分以上がローンなどの証券化商品だったので、債券扱いにしないで投資したほうが値動きが理解しやすいと思います。
重要なのはJ-REITに投資するかどうかで、持ち家派であれば結構な不動産を所有していることになるので証券まで不動産にしなくてよいでしょう。
実情は現金でも配分比率を守り続けるとよい
現金で保有すると投資機会が失われることを意味しますが、世界中の経済学者が社会実験を実践している最中に、素人考えが対応できるとは思えません。どうしても躊躇してしまう場合は追加投資を中断し、現金で保有しても構わないです。ただし、その場合でも資産配分は変更しないこと(債券投資分の積立金額は債券投資用に保持しておくこと)です。
配分を正しく維持することで、価格激変時に正しくリバランスできるようになります。
毎度くどいですがこのような妄言を信じて対応されると困りますので、投資は自己判断でお願いします。