つみたてNISAは中高年向けかも
日興証券の主婦向け勧誘漫画で「20年で2倍になるかも!」、「月々1,000円から始められるなんて!」みたいな気の狂ったのを読みました。20年後に2,000円になってうれしいのかな。。。で、考えたのですがどうやらつみたてNISAはある程度余裕資金があるけれど投資活動してこなかった中高年向けかなって思いましたので書いておきます。
つみたてNISAの特徴
簡単に言うとこんな制度です。
- 信託報酬が安めの投資信託に限定されていて、いろいろ考えることが少ない。
- 利益のみ非課税。iDeCoや小規模共済のように掛け金が控除されるわけではないので節税効果は限定的。
- 期間は20年。一気に終了するのではなく、購入して20年経過した分からNISA対象外になる。
- 年間40万円まで。月にならすと3万円ほど。年内に売買を繰り返せない。
ということで、購入や売却に制限があり、単独では資産配分を守ることが非常に難しい制度になっています。制度に乗っていればかなりの確率で利益が出るでしょうが、資産配分を守らないとその確率を上げることができないので(確実、ってレベルにはならないのです)すごく中途半端な感じです。
投資未経験の中高年に最適
20年という期間を考えると普通に2回か3回の暴落を経験するわけで、落ち着かないし、「ちょうど20年後に暴落が来たら?」なんて間違った不安に苛まれたりします。(間違っている理由は後述。活動はだらだら40年続きます)節税効果も大してないとなると、こんなの誰が?という話になります。
実は割と身近にたくさん居ました。ある程度収入の高い会社員とその奥さん。みんな何かしら投資活動しているのかと思ったら税金を取られまくりながら貯金だけ続けている人って結構いるみたいなのです。また、60歳でいったん退職して再就職する形の人は退職時にある程度お金をもらう人もいるようです。なんとつみたてNISAはそのような投資経験の浅く、かつ余裕資金を持った人におすすめなのでした。
以下のようなメリットが考えられます。
- 自分で出口戦略を考える必要がない。20年後、勝手に出口に追い出し始めてくれる。
- 20年後から自分年金を受け取れる。例えば50歳から月々3万円でつみたてNISAを始めると70歳から月々5万円くらいは受け取れることを期待できる。
- リバランスの対応である程度投資活動を経験できる。
出口戦略は自分年金
よく言われる言葉ですが、年代が上がるとリスク許容度が下がるから資産配分の見直しが必要とか、貯めてばっかりじゃ守銭奴だからちゃんと計画的に使おう、とか、その辺を出口戦略として語られていると思います。2024年の制度改正でここが変更されてしまう可能性があると思いますが、つみたてNISAの場合はこの出口戦略を考える必要が全くありません。
以下は金融庁の説明です。
20年じゃなく、40年で考える必要があるのです。
50歳から投資を始めた場合、20年後の70歳時に非課税期間が終了するので強制的にNISA口座から一般口座(あるいは特定口座)に移されます。使いたければ遠慮なくそれを売却してしまえばよいのです。
71歳になったら51歳の時投資した分がNISA口座から出てくるので、、、、以下同文です。これが90歳まで続きます。月々3万円くらい投資していれば20年後に月々5万円くらいの自分年金が受け取れると期待してよいのは50歳まで投資活動してこなかった人にしては上出来じゃないか、って思います。
日興証券の宣伝漫画みたいに月々1,000円だと意味がないので、月々3万円くらいを感慨もなく、払い続けられる余裕資金のある人には利用価値があるのです。
余裕資金でリバランス
投資期間が40年ということが分かったのですが、40年ということはその間資産が半分になるような暴落を5回から10回くらい経験することになります。一括投資の場合、倍になってから半分になったら元の木阿弥ですが、通常は倍になる前に暴落して大損します。つみたてNISAの場合、一括投資できないので、投資額は最初の10年で最大400万円です。その間1回か2回の暴落は経験できるでしょう。生活必要資金以外に1000万円くらい余裕資金があれば暴落時にリバランスすることでだいぶ堅牢な資産を形成できる可能性高まります。(予備資金は国内債券に投資していると考えるとわかりやすいです)リバランス方針は以下のように考えておきます。(何%とか何年とかは自分のお好みで決めます)
- 直近高値からどのくらい下がったら余裕資金を投入するか決めておきます。(例えば直近から25%、40%、60%、80%下がった場合に最大4回対応しよう、とか決めておきます)
- 一回の投入額を考えておきます。すでに300万円投資していたらその10%の30万円とか。
- 介入後、低迷期に入ったら保有し続けてもよいですが、元の水準に戻った時(米国株の場合、過去実績的には(将来は不明)5~6年で元の水準に戻っているようです)、介入した分は利益が出ていますので現金に戻すことを考えます。NISA口座の平均取得単価より大きければ遠慮なく現金化して問題ないと思います。
リバランスはNISA口座ではできないのでNISA口座から追い出される先の口座(特定口座など)で実施するしかなさそうです。なのでリバランスに成功すると税金を支払います。
20代から積立NISAを始めて、40代から続々満期を迎えても構わないですが、20代から投資を始めるなら資産配分の重要性(計画を立てること、リバランスする勇気と行動力を持つこと等)が理解できる他の方法が良いのでは?と思います。